●「続・知られざる日豪関係」(344)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「”生還を期して戦果は期待できず”の観念がまかり通っていた海軍において、”自爆はするな”というのは非常に意味深長なる言葉である。
 この言葉を豊島一は、どのように受けとめていたのだろうか。
  あるいはこの言葉ゆえに、かれは生きのびていたのだろうか。
 おそらく源田氏の意味していたのは、『被弾、あるいは事故で飛行不能になっても、自爆はするな』ということであろう。
 それは、オーストラリア本土攻撃において、ダーウィン爆撃では『蒼龍』艦爆搭乗員が、またブルームではクーパン基地から飛んだ零式艦戦隊の搭乗員が水偵機により救助されているのをみてもわかるとおりである。」