●「続・知られざる日豪関係」(353)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「いったいこの八百九十八日の間、南忠男は何を考えていたのだろうか。
 そしてカウラ事件において、かれはその首謀者であったように思えるのだが、果たしてかれが実際に演じた役割とは何だったのか。
 いや、それ以前に、そもそもカウラ事件とは何だったのだろう。
 朝鮮人捕虜マツモトの密告情報にはじまる事件発覚から暴動発生、そして南死亡に至までの経過は、オーストラリア公文書などを通じておおよそは調べてきた。
 また日本側の生還者たちの証言も集めてきたものの、どうも南忠男の動きや日本兵捕虜たちの動きがいまひとつ理解できない。」