●「続・知られざる日豪関係」(354)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「たとえば暴動決行に至った動機は、兵、下士官の分離移動命令に対し、死をもって抗議する、そしてこれが虜囚としての汚名をすすぐ絶好の機会であった、と暴動当時の日本兵捕虜団団長金沢は事件後に開かれた軍事査問会議に提出した供述書の中で述べているが、本当に理由はそれだけだったのだろうか。
 本当にそれだけの理由で、かれらは死に踏み切ったのだろうか。
 こうした疑問を持つこと自体、私が戦争を知らぬ世代であり、虜囚という烙印の重みを自分の中に感じとれぬからなのだろうが、やはりどうしても理解できぬことである。」