●「続・知られざる日豪関係」(355)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「まして南忠男の場合は、意図的な不時着からはじまって、脱走未遂を犯したり、受験生さながらの寸暇を惜しむ英語学習など、明らかに生への執着を持っていたと思われる行動をとりながらも、ある日突然暴動決起のラッパを吹くという、私などの理解できぬ距離へと飛んでしまっている。
 このあまりにもかけ離れた行動は、やはり『生キテ虜囚ノ辱(はずかしめ)ヲ受ケズ』のためだったのだろうか。
 自殺的な暴動の背景には、具体的にどのようなことがあったのか。
 もしそれをもっと明確に知ることができたなら、そこに南忠男の姿、かれの果たした役割、そしてかれの考えていたことが自ずと浮かび上がってくるだろう。」