●「続・知られざる日豪関係」(362)
〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜
「発端は、日本人コンパウンドの下士官捕虜が、例によって作業班召集を拒否し、収容所側担当者とトラブルを生じたことだった。
現場に駆けつけた収容所副官は、まずアダチという海軍中尉に対し、すぐに事態を収拾するように命じた。
だがかれがこれを拒否し、さらに他の捕虜たちも同調して反抗的な態度をとったため、武装監視兵四十名がコンパウンド内に導入された。
続いて副官はアダチに対しコンパウンド外退去を命じたが、かれはそれも拒否してハットの中へ身を隠し、拘引しようとする監視兵とそれを妨害する捕虜たちの間にこぜり合いが生じ、次第に事態は悪化していった。」