●「続・知られざる日豪関係」(363)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「しばらくしたのち、ハットの中からニシムラという所内ではほとんど目立たぬ海軍中尉が話し合いのため出てきたが、すぐに排除され、その後ようやくアダチが姿をあらわしたものの、副官は、命令に服従しない場合は他の捕虜たちの拘引もあり得ると警告した。
 これに対し、アダチは一瞬躊躇した様子だったが、まわりの捕虜たちにけしかられ、ふたたび命令を拒否した。
 こうした事態が一時間以上続いたのち、副官は非常事態に備え、監視兵らに武器の使用もあり得ると指示し、同時に威嚇のつもりでわざと捕虜たちに見えるように監視兵からピストルを受け取った。」