●「続・知られざる日豪関係」(379)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「千百四名のBコンパウンド捕虜のうち、その六十数パーセントの人員を失っては、もう一斉蜂起どころではない。
 満足な武器を持たぬ籠の中の鳥が敵を制圧するためには、死を覚悟の人海戦術をおいてほかに道はないだろうが、わずか四百名となってはBコンパウンドからの脱柵さえも不可能になる。
 そうしたことから、南が口にした『VERY BAD BUSINESS(非常にまずい)』という言葉は、抗議というよりもむしろ自分自身の中にある計画において、『しまった、これではまずい』という焦りにも似た意味を含んでいたのではないだろうか。
 さて、問題はここからである。
 これから数時間のうちに暴動が決定され、そして実行されるのだ。」