●「続・知られざる日豪関係」(385)
〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜
「断られることを承知のうえで入っていったのだが、その気休めのつもりで開いたドアが、実はそれからはじまる奇妙な、まったく奇妙としかいいようのない偶然の連続の、第一歩となったのだった。
『そういうのは、ちょっとここではわからないのですが・・・・・』
私の申し出に、カウンターの受付けにいた女子社員は、案の定困惑した表情を見せた。
やはり駄目か。
私は素直にあきらめて、すぐに外へ出ようとした。
しかしその女子社員は、私の表情を読みとったのか、そういってからほかに何か方法は、というふうにちょっと考えて、思い出したように後を振り返ると、オフィスの奥の方にいた四十過ぎの男性を呼んだ。」