●「続・知られざる日豪関係」(407)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「あとがき


 戦後ベビーブームの末期に生まれた私にとって、『戦争』という二文字から思い浮かべられる実像は、皆無にひとしい。
 せいぜい子供の頃から伝え聞いていた話や、ときおり見る記録フィルム、それと出版物などから得た程度の限られた知識、それが私の知る『戦争』のすべてだった。
 そんな私が本書を書くにいたった発端は、オーストラリア滞在中に垣間見た、異文化の中における『日本』と、戦後派の私の中にある『日本』、そして四十年前(注:中野さんの書かれたこの本が出版されたのは、1984年7月)の『日本』との間にあるギャップからだった。
 このからみあった三つの『日本』が、私を走らせたのだと思う。」