●「続・知られざる日豪関係」(409)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「この若者の生への努力を肯定することにより、私自身の中にある偏見をも肯定したかったからだ。
 そして、かなり強引ではあったかもしれないが、彼の必死の努力による『不時着』は、証明されたと思う。
 だが、やっとのことで肯定されたかれの生への執着は、次の瞬間、カウラ事件により見事に覆されてしまった。
 いや覆されたというよりも、思わぬかたちでかなり身近な距離へとはねかえってきた、というべきかもしれない。
 カウラ事件で、決行に際して捕虜たちのとった行動は、虜囚の身であったことと収容所内のことであったという条件をのぞけば、決して特殊なものではなかったと思う。」