●「続・知られざる日豪関係」(412)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「いまさら閣議の様子や東条陸相の言動を、カウラ暴動前夜の班長会議に照合する必要もないだろう。
 寸分違わぬといってよいほどに酷似する状況が、開戦前夜においてもあったのである。
 また、一九四一年九月六日の御前会議において、席上永野軍令部総長は統帥部を代表し、次のような挨拶をしたという。
『戦わざれば亡国と政府は判断された。戦うもまた亡国であるかも知らぬ。
 戦わざる亡国は魂まで失った真の亡国であり、最後の一兵まで戦うことによってのみ死中活路を見出し得るであろう。
 戦ってよし勝たずとも、護国に徹した日本精神さえ遺れば我等の児孫は再起三起するであろう。
 戦争と決定された場合、我等軍人はただただ大命一下戦いに赴くのみである。
 そうして最後まで戦い抜くであろう』」