●「続・知られざる日豪関係」(413)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「活字に吸い寄せられるように読みすすみながら、私はそこに、暴動が決定したあとの、捕虜たちの心の動きをなぞらえずにはいられなかった。
 この記事の筆者、戦中派の森本忠夫氏は、永野軍令部総長の決意に示されていたものは、『”特殊に日本的”と規定される日本人特有の非論理的ないしは超理性的な意志決定の典型的なパターンであった。
 それを飛躍といってもよいし、あるいは狂気の沙汰と呼んでもよい』、といっている。
 これが”特殊に日本的”なものであるのかどうか、若輩の私には断定できないが、この意志決定のパターンが、われわれの日常生活においても頻繁に見られるものであることだけはたしかだと思う。
 そしてこの開戦前夜の意志決定が、典型的パターンであるならば、それは決してあの時代、あの状況においてのみ見られたものではなく、過去から現代にいたるまで、途切れることなく確実に投影されている同軸上の定型図だといえるだろう。」