●「続・知られざる日豪関係」(471)

「わたしと映画・南十字星」(21)

 
 田宮は、せめて銃殺にと嘆願するが聞き入れられない。
 ペイジたちに斬首を伝える田宮の心は重い。
「日本武士道の、斬る者と斬られる者との間柄は敵ではない。
 互に信頼し合う人間関係なのだ。」
 言いおえて、肩を落した田宮にペイジが
「ミノル君の手で私を天国に送ってほしい。」
 処刑の日の朝が来る。
 南十字星が光りを失ってゆく。
 田宮はまんじりともせず、その朝を迎えた・・・・・。