●「続・知られざる日豪関係」(474)

「わたしと映画・南十字星」(24)


「オーストラリアの特攻隊」


 十人の射手が、射撃の萬全を期するために、銃を銃架の砂嚢にのせ狭窄射撃の姿勢をとっている。
 距離はわずか一米。
 目かくしの白布の、丁度両眼の中間に標的の○印が書いてある。
 指揮官の軍刀が赤道直下の白日に閃くと、
「擧銃!」の號令で、實戦に馴れた防衛隊選り抜きの兵士は、落ちついた動作で銃の照準を合せた。
 灌木の茂みにかくれて、情況を見ていた私は、「撃てつ」の號令を聞くに堪えず、そつとかくれ場所をはなれて、ブキテマの山を一散に駆け降りた。
(注:これを書かれた古田博幸さんが、映画・南十字星の主人公である「田宮稔」だと確信した)。