●「続・知られざる日豪関係」(475)

「わたしと映画・南十字星」(25)


「オーストラリアの特攻隊」


 途中で、腹にこたえるような銃聲を聞いた。
 萬事が終った。
 これで良いのか、まだ何か打つ手はなかったか、私は正しかったろうかという思いが、いつまでも私を苦しめた。
 この事件は、それほど私の精根を使いはたさせた複雑きわまるものだった。


 ことの起こり


 事件の報告が軍司令部へ届いたのは、丁度晝飯の時間だった。
 昭和十九年九月末の月曜日のことである。
 この月曜日ということを讀者は記憶されたい。