●「続・知られざる日豪関係」(477)

「わたしと映画・南十字星」(27)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


 前週の金曜日の夕方、昭南港の入り口のあたりで、折からの南方特有の無風状態に、風待ちをしている一隻の現地人の帆船があった。
 正規の日章旗をかかげているし、何等怪しいところはなかったので、現地人の巡警をのせた警戒船が、通常の臨検のつもりで、不用意にこの船に近づいたところ、ふいに船内から機関銃の射撃をうけた。
 巡警二名は即死、残りの一名が泳いで歸って報告をした時には、すでに帆船の影はなく、それから數時間後、沖合はるかの南方で、鈍い爆發音を聞いたというのである。
 さらにその翌日、港外のピンタン島の上空に敵のB24が一機、約二間時(注:原文)にわたって旋回し、明らかに地上と何か連絡した後、西方に影を没したという報告もあった。