●「続・知られざる日豪関係」(478)

「わたしと映画・南十字星」(28)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


 これらの情報をあつめた昭南防衛司令部は、こと重大と見て軍司令部に報告してきたわけである。
 當時、寺内元帥の南方總軍司令部はすでにマニラに移駐して、土肥原大将の第七方面軍がシンガポールに軍司令部をおいていた。
 第七方面軍の地域はマライ、スマトラ、ジャバ方面におよんでおり、そのいずれもがまだ敵の進攻をうけていなかったから、その奥深くにおかれていた軍司令部の膝元に、敵兵が潜入したことは全く驚愕に値することだった。
「残置諜者が活動をはじめたのではないか」という意見が多くの人に唱えられた。