●「続・知られざる日豪関係」(479)

「わたしと映画・南十字星」(29)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


 残置諜者とは英軍が降伏の時に残しておいたゲリラ部隊のことである。
 しかしそれにしては方法が大膽すぎるし、あまりに拙劣な姿のあらわし方と言わねばならない。
 司令部内では、とりあえず一個中隊を編成して討伐に當らせることになり、富田大尉を隊長に任命して南方洋上の島島に派遣したが、まだ何かの間違いではないかという観測が強く、事件に眞劍に取組む氣持ちが薄かった。
 司令部が眞に緊張したのは、討伐隊が出発してから十日ほど徑って、富田大尉が戦死した時からだった。