●「続・知られざる日豪関係」(480)

「わたしと映画・南十字星」(30)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


 討伐隊長の戦死


 マポール島は、シンガポール南方洋上に無数に散らばっている島の一つである。
 富田大尉の討伐隊がこの島に上陸したのは、熱帯の太陽がすでに沈みかけている頃だった。
「第一小隊だけが上陸する。
 他の者は命令があるまで船上で待機せよ」
 先頭に立った富田隊長が、海岸の砂地を百メートルも進んだ時、「アッ」と叫んでくずれるように砂上に倒れた。
 機関銃の掃射である。
「伏せつ」の號令を待つまでもなく、全員はひしと砂上に顔をおしつけていた。