●「続・知られざる日豪関係」(481)
「わたしと映画・南十字星」(31)
「オーストラリアの特攻隊」の続き
代って指揮をとった第一小隊長山口少尉が號令をかけ、銃聲を聞いて船から駈けつけた他の小隊とともに輕機と歩兵銃を前面の木立の中にうちこんだ。
敵は消音銃を用いている。
椰子の葉に雨が降りかかるぐらいの音がして、弾丸が飛来してくるのだから、兵力も察知できなければ、弾丸のくる方向さえ確實にはつかみにくい。
しかし敵の方から進んでくる氣配はないから、あまり大した兵力ではないと見ていい。
ようやく暗くなって来、敵からの射撃も少なくなったので、山口少尉は攻撃を明朝に延ばすこととし、戦死した中隊長を船に収容し、敵と向いあつたまま、夜を明かすことにした。