●「続・知られざる日豪関係」(482)

「わたしと映画・南十字星」(32)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


 敵が島から脱出してはならない。
 山口少尉は船を徹宵、マポール島の周邊にめぐらせて警戒した。
しかし翌朝、全員が前面の高地に突撃し、これを占領した時には敵兵の影はなく、ただ宿營の跡と見える食糧、無電機、日章旗、軍政檻部旗その他が散亂しているだけだった。
 あの厳重な警戒をどうして破って逃げ出したか、不審のままに敵の遺留品を押収して、中隊は一旦シンガポールに引きかえした。