●「続・知られざる日豪関係」(487)

「わたしと映画・南十字星」(37)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


 到着した敵兵十一名は、いずれも三カ月の逃走生活に疲れ果て、長くのびた鬚だらけの顔に、眼だけが緊張にかがやいていた。
 水上憲兵隊長水元大尉、昭南防衛司令部から新たに取調官に任命された野口大尉、それに私の三人が、訊問方法に關する根本方針の打ち合わせを行った。
「今までの行動から見て、死をおそれていない彼等だから、單なる拷問では、眞實はつかめないと思うが、古田通譯は捕虜の取調べに徑驗も深いし、英国の生活が長くて英国人の氣質もよく知っておられるから、どういう態度を取ったら良いか考えてもらいたい」
 と水元大尉が言った。