●「続・知られざる日豪関係」(515)

「わたしと映画・南十字星」(65)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


 ダヴィドソン少佐は、暇があれば讀書をした。
 私は英国のユーモリストであるウードハウスの愛讀者で、その本を三十冊ぐらい集めていた。
 彼は全部これを讀了し、もつと貸せと言つた。
 私が米國の暗黒街を書いたデーモン・ラナヨンの本を見せたら、
「そんな本はつまらない」と言う。
「外にはもう本はない。
 あるのはシェクスピアばかりだ」と云つたら、
「それが一番良いではないか。
 何故早く云わなかつた」と云う。