●「続・知られざる日豪関係」(516)

「わたしと映画・南十字星」(66)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


「よし、明日持つて来よう」と云つた。
「それまで契約の保證にこれを預かつておく」
 と云つて、暗黒街の本を取りあげた。
 軍隊には加給品という定めがある。
 食事の時に、甘納豆や洋かんが配給になるのがそれだ。
 また酒保で大福を賣り出すこともある。
 一人一袋だ。
 しかし通譯班の人たちは、みんなこの敵の軍人たちに好意を持つていたから、自分の配給を食べずに彼等に届けたり、大福を買つて行つたりした。