●「続・知られざる日豪関係」(518)

「わたしと映画・南十字星」(68)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


 それはマライ俘虜収容所の俘虜は全部シンガポール降伏の時捕えたものだから戦況の推移を知らない。
 その中へ最近の日本軍の非況を知つている俘虜を入れたなら在来の俘虜の士氣を鼓舞して収拾がつかなくなるだろうということだつた。
 それは確にその通りで、新しい俘虜がこの理由のために闇に葬られ、後に戦犯を出すことになつた例は少くない。
 法務部の神谷法務少佐は、頭の鋭い、正義感の強い軍人だつた。
 人情に負けてはいけない。
 法は守らねばならないという意見が強くなつていつた。
 軍法會議の取調べが行われた。