●「続・知られざる日豪関係」(523)

「わたしと映画・南十字星」(73)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


 意外な告白


 ページ大尉と仲よくなり、毎日雑談をするようになつた時、私はふと、
「昨年現地人が二十名ほど共謀して、湾内の輸送船を五隻爆破した。
 近いうちにこの人たちが處刑される」
 という話をした。
 この時ページ大尉の表情が變り、急に黙り込んでしまつたのを、後から思出したのだつた。
 翌日、ページ大尉は私に話したいことがあると言つた。
 それは驚くべき内容だつた
 前年、卽ち昭和十八年の九月、シンガポール港内に潜入して、輸送船五隻を爆破したのは自分たちである。
 こういう種類の謀略行為はいつたん基地へ歸れば違法性は消滅するものであるから、今まで黙つていた次第だが、自分たちの代りに、罪のない現地人二十名あまりが死刑になると聞いては、黙つていられないから申告する。