●「続・知られざる日豪関係」(529)

「わたしと映画・南十字星」(79)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


「俺はいやだ、本當の裁判長にして、自由に裁判させてくれるなら喜んでやるよ。
 そしてみんな無罪にして収容所へ送り込んでやるよ。
 それには記録を一週間ぐらい讀ませてくれなければ駄目だ。
 法務部の用意したものを讀んで、死刑を宣告する道具にされるなら嫌なことだ」
 威張ることの好きな或る大佐が裁判長になつて、軍法會議が開かれた。
 検察官である神谷少佐はこう論告した。
「以上によりかくも罪状のはつきりしたこの勇士たちに、今さら助命の方法を考えるのは勇士の精神を侮辱するものである。
 彼らが故國を去つて壯途につく時、その心中すでに生還を期しておらず、生死を度外視して愛國の熱情に燃えたつたであろう。