●「続・知られざる日豪関係」(538)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 第2次世界大戦中、日本とオーストラリアとの戦争は、わたしたちの知らない小さな島でも繰り広げられていたようだ。
 

 それを明らかにしているこの本の内容を理解していただくため、まず「訳者あとがき」を紹介する。
 

「この本は一九四二年から四三年にかけて、日米両軍が文字どおりの死闘を展開したソロモン群島における連合軍沿岸監視員たちの活躍ぶりを描いたノンフィクションである。
(注:原題は「孤独なる監視者──ソロモン群島の沿岸監視員」)。
 沿岸監視員は、ソロモン以外の南東太平洋地域、たとえばラバウル周辺のビスマーク諸島、アドミラルティ諸島やニューギニア本島、その他の離島にも配置されていたし、彼らの活動を統制する本部はオーストラリア本土に位置していたが、著者はこの本では、対象をソロモン群島だけに限定している。