●「続・知られざる日豪関係」(544)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


「訳者あとがき」の続き


 緒戦期にはゼロ戦の基地を三〇〇カイリずつ進めながらその制空権下で占領作戦を進めてきたのに、ラバウルからソロモンに向かった時は、一挙に六〇〇カイリ跳躍してガダルカナル島に飛行場建設を開始したのである。
 八月七日、意表をついて米軍がガ島に上陸してきた時、ラバウルゼロ戦隊は片道六〇〇カイリを往復して十数分の空戦しかできず、搭乗員の疲労が重なって米海兵隊空軍に敗れる一因となった。


 ガ島に米軍が上陸してから、最初の海兵隊機が到着するまでの二週間、周辺の制海権と制空権は日本軍の手に残っていた。
 船団と護衛艦隊が八日のサボ島沖海戦で大損害を受けあわてて引きあげ、完成間近の飛行場がまだ使えなかったからである。