●「続・知られざる日豪関係」(545)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


「訳者あとがき」の続き


 それにもかかわらず、日本軍が制海空権を失いガ島争奪戦に敗れたのは、事態の深刻性を認識できなかった大本営のせいだが、沿岸監視員の貢献するところが大きい。
 米軍上陸前にはガ島に配属された監視員(クレメンズ、ローズら)が日本軍の飛行場建設状況を逐一報告していたため、上陸作戦は最善のタイミングで実施された。
 伝道者や現住民の大半が加担したことも連合軍の作戦をどれほど助けたことか。
 おそらく最大の功績は、ブーゲンビル島に配置された二人の監視員による偵察活動であったろう。
 とくにラバウルを出撃した日本空軍の機数、高度、通過時間は洩れなくガ島に通報され、効率のよい迎撃行動を可能とした。