●「続・知られざる日豪関係」(546)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


「訳者あとがき」の続き


 到着三十分前になると、海兵隊戦闘機の搭乗員はカードゲームをやめて離陸し、最適の高度まで上昇して太陽を背に、やってきた日本の爆撃隊に一撃離脱の急襲をかけた。
 長時間の飛行に疲労した援護のゼロ戦も、同様に葬られた。
 機数も経験も技倆も劣った米空軍が常に優位を確保したのは、沿岸監視員たちの「縁の下の力持ち」があって、はじめて可能だった。
 この意味で、メイスンとリードの二人は戦闘機数十機分の戦力に相当したといえようか。
 戦場が中、北部ソロモンへ移るつれて、監視員たちの任務も変ってきた。
 人間レーダーの代りに、連合軍の飛行機、艦船の救出作戦に重点が移り、のちの米国大統領ジョン・F・ケネディも、監視組織によって救助された。