●「続・知られざる日豪関係」(559)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 二つの列の間には、狭い水道が走り、地図発行者はニュージョージア海峡と名づけたが、旅行者の目には溝あるいは瀬戸という感じなので、いつの間にか”スロット”(注:みぞ,細長い穴=コンサイス英和辞典)と呼ばれるようになった。
 スロットの南東端に近く、マライタ島とガダルカナルの中間に、フロリダ諸島という小島群がある。
 その一つで、全長わずか二マイルの小島が、イギリス政庁の所在地ツラギ島だった。
 スロットに沿った島々は、まぶしいほどの青い海にこんもりと浮ぶ緑のかたまりである。
 海岸線の上には切りたった山々がそびえ立ち、ブーゲンビル島では二つの活火山の噴煙が,雲とまじり合っている。
 壮大な自然に囲まれ、スロットを航行する大型汽船もおもちゃのように小さく見えた。