●「続・知られざる日豪関係」(560)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 この美しい島々は、また世界の中心から遠く離れた孤島でもあった。
 スペイン人は一五六七年に初めて群島を発見していたが、世界の通商ルートからあまりにも離れていたため忘れられ、再発見まで二〇〇年の日々を要した。
 一九世紀に入って、偶然訪れたヨーロッパ人の探険者が、イギリス、フランス、ドイツ風の地名を残したが、イギリスが一八九三年に南ソロモン群島を保護領にするまで領土権の帰属すら不明確だった。
 その後五〇年間、島々の多くは文明世界と縁のない地域でありつづけた。
 農園主や伝道者を主とするわずか六五〇人の白人植民者が六万平方マイルの地域に散らばっていた。