●「続・知られざる日豪関係」(562)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 なかでもチョイセル島はおそらく世界中で外界の人間がもっとも寄りつかなかった島の一つであったろう。
 しかし一面からいうと、それは入植者たちの望むところでもあった。
 ここに住みついた人々には、ありきたりの世界から逃れたいという潜在意識があった。
 孤独で不安な生活にあこがれる者、忘れたい過去を持つ者、それに神の福音を広めようとする人々などである。
 なかにはソロモン群島に来ても目的を達しえず、呑んだくれて波止場ゴロになり下がった者もいたが、多くの人々にとってこの自足的世界は虹のような希望に満ちた場所であった。
 新移住者の一人はつぎのように書いた。