●「続・知られざる日豪関係」(572)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”ステーキと卵”の続き
すべてのステーションは携帶無線機を備えていたが、これは音声でも電鍵でも通信できる優秀な機械でバッテリ―で動き、音声で四〇〇マイル、電鍵だと六〇〇マイルの範囲まで届いた。
だが外見は不格好で、スピーカー、レシーバ、送信器の三つに分解しても、それぞれ七五〜一〇〇ポンドの重さがあり、バッテリー、充電用エンジン、それを動かすガソリンまで入れると、運ぶ時には一二人から一六人もの人手を要した。
しかし最初のうちは誰も無線機の重量を気にしなかった。
沿岸監視哨があちこちと移動せねばならなくなるとは思っていなかったからである。
敵の戦線の向う側で働くことはまずなく、味方の領域で、敵の船か飛行機の動きを監視する単純な見張り役だと考えられた。