●「続・知られざる日豪関係」(574)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 それはこの大波の通り道にいた監視員にとっては苦難の日々であった。
 ニューブリテン島にいたキース・マッカーシーは間一髪のところで脱出した。
 ニッサン島のC・C・ジャーヴィスは、「未知の船が礁湖の入口に停泊しあり」という最後の通信を送って永遠に姿を消してしまった。
 かくて監視員たちは突然、敵の戦線の背後で活動する可能性に直面していることを悟ったのである。
 しかし彼らの運命がどうあれ、フェルトはただ一つのことを主張した。
 つまり、彼らの任務は見張ることであって、戦うことではないと。
 この点を徹底させるために、彼は沿岸監視網を、闘技場より花の方を好んだ物語の雄牛にちなんで<フェルディナンド>と名づけた。