●「続・知られざる日豪関係」(578)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 多くの監視員たちとちがって、彼はその土地に何も経験がなかったが、島では古顔のベランデ農園支配人K・D・ヘイの保護下に入る便宜を得た。 
 頑固で独立心が強く、群島のことにかけては何でもよく知っていたヘイは、持ち前の性格から脱出を拒み、ツラギの避難さわぎを冷やかに眺めてベランデに帰ると、バーンズ・フィルプが放棄した莫大な物資を集めにかかった。
 マクファランも加わり、二人は四月の大半を費して、これらの物資を奥地に見つけた三ヵ所の隠し場所に運びこむ。
 計画では日本軍が来たら一五マイル奥に入ったゴールドリッジと呼ばれる高度二八〇〇フィートの丘陵地帯に引っこむことにしていた。