●「続・知られざる日豪関係」(586)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 農園に帰ると一人の客が待っていた。
 白髪のローズがラボロから、食料と情報を求めてランチで下って来たのだった。
 ヘイがバンブー・クリークから戻ったので、求めたものは両方ともたっぷり手に入った。
 三人の男はしばらく農園の家のベランダに座って、ツラギの上にたちこめる硝煙を眺めていた。
 すでに暗くなっていて、友軍が処分するために燃やした火が、夕空を赤く染めていた。
 もはや一刻の猶予もなかった。
 危険ではあったが、ローズはラボロに帰ろうと決心してランチに乗りうつり、夜九時に美しい月明りの中を出て行った。