●「続・知られざる日豪関係」(587)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 この時クレメンズはアオラで特別に忙しかった一日を終ろうとしていた
 持ち去るべき記録類や物品のつめこみ作業をつづけながらカタリナ機の乗員に食事の世話をしてやり、三隻の小船で逃げだしてきた中国人を応援したり、それらを一度にこなさなければならなかった。
 ツラギの空が燃え上がる焔で焼かれるのを見ながら彼はアオラのVNTGステーションを最終的に閉鎖する合図に決められていた暗号を思い出そうとしていた。
 <卵とソーセージ>だったか<レバーとベーコン>だったか、何かそんなものだったが、疲れた頭ではなかなか思い出せなかった。
 そこへ無電が入っているという知らせが来た。
 通信室に入ってレシーバーを耳にあてると、ツラギからの連絡だった。