●「続・知られざる日豪関係」(589)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”ステーキと卵”の続き
五月三日の明け方,一隻の古ぼけた沿岸用舟艇がたどりついて,事態はやっとはっきりした。
その舟にはオーストラリア空軍の全員が乗っていて、報告によると海兵隊も別の船で脱出したということだった。
そして彼らがツラギ港をすべり出たのと入れかわりに、四隻の日本の軍艦が入ってくるのを見たと言う。
クレメンズが全員に朝食を出すと疲れはてたツラギの男たちは芝生に身を投げ出して眠り込んだ。
彼は指揮官に航空隊員をこのままガダルカナルに残してゲリラ部隊を編成するようすすめたが、指揮官はただひたすら空に戻りたい男で、夕方までに一同の小さな船は南に向けて出発した。
その日は多忙をきわめた。