●「続・知られざる日豪関係」(593)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 さて日本軍のツラギ上陸はガダルカナルの監視員たちにとって全く新しい悩みとなった。
 敵はまっすぐ襲ってくるだろうか。
 誰にも分らなかったが、それを阻止する手段がないのは明らかだった。
 しかし二機の水上機が機銃掃射のために飛来するにおよんで、ケン・ヘイはベランデの見張所を閉鎖してゴールドリッジのマクファランに合流しようと決心した。
 彼は昼中かかって荷造りをすませ、その夜トラックにつめるだけ積み込んだ。
 彼は豊かな生活を好み、灯油で動かすエレクトロルクス社製の冷蔵庫も携行した。
 それからベッドに入ったが、日本船の探照灯が彼の住家を照らす光芒で目を覚ましたので、すぐに出発すべきだと考えた。