●「続・知られざる日豪関係」(594)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 東方のアオラでは、クレメンズが徹夜で仕事をつづけていた。
 その夜はまちがい警報に応答したり、現住民の見張りが怖がって逃げ腰になるのをなだめたりしてすごし、四日の朝六時半ごろになってもまだ眠れないでいると、ほら貝が鳴って飛行機の接近を知らせた。
 しかしこの日は主客が入れ替っていた。
 アメリカの白い星印をつけた四〇機の急降下爆撃機と雷撃機が、南方から飛来してツラギ港に停泊する日本艦船に爆弾の雨を降らせた。
 大きな火柱とわき起こる黒煙が空中に吹きあげ、はじめはそれを信じられない思いで眺めたが、アオラの監視員はやがてうっとりと満足した気持ちで見物したのであった。