●「続・知られざる日豪関係」(596)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 西方へ転針したフレッチャーは進撃する日本軍の別の一翼であるポート・モレスビー占領部隊に向い、五月七日と八日サンゴ海海戦で、米艦載機は日本の空母一隻を撃沈、別の一隻に損害を与えた。
 しかしアメリカ側の損失はさらに多かった。
 レキシントンの他に二隻が沈没し、ヨークタウンは大破した。
 しかしフレッチャーの狙った戦闘目的は達成された。
 五月八日午前九時、ポート・モレスビー占領部隊は針路を変えてラバウルへ引き返したからである。
 一方、ツラギの日本軍が受けた損害は、ガダルカナルのクレメンズたちやサボ島の監視員、シュレーダーが想像していてよりはずっと少なかった。