●「続・知られざる日豪関係」(599)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 彼には日本軍とは別の恐怖も迫っていた。
 一月ほど前、ウィルモットという鉱山技師がベッドの中で現住民に斧で殺された事件があった。
 それは偶然の事件だったのか、それともヨーロッパ人入植者の恥ずべき敗走につづいて起こる反乱の前ぶれだろうか。
 毎夜クレメンズは眠る前に明朝果たして生きて目ざめるだろうかと疑ってみるのだった。
 しかし彼は、住民がどう感じていようと、彼自身の部下だけは忠実であると確信して頑張ることにした。
 クレメンズは、アンドリュー・ランジェビア伍長の下に一八人の現地人巡査をかかえていた。