●「続・知られざる日豪関係」(603)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”ステーキと卵”の続き
教会から海岸沿いに小舟を走らせて来たスリフトは、空母ヨークタウンの米人飛行士二人を連れていた。
操縦士のレナード・イウォルト中尉と同乗の機上通信しレイ・マチャリンスキーは、ツラギを爆撃したあと、燃料を使い果たして、海上に不時着した。
そしてガダルカナル島の南岸に打ち上げられた二人は、友好的な現住民の手でスリフトのところへ届けられたのだった。
クレメンズが二人に顔を合せた時、イウォルトが最初に言ったのは「真珠湾へ帰らせてもらえるでしょうか」という質問であった。
「何ができるかやってみましょう」とクレメンズも冷静なイギリス植民地官吏らしい口調で答えた。
彼は約束を守った。