「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”ステーキと卵”の続き
三日のうちに二人は、志願した中国人が動かす小舟にのって南へ向い、サンクリストバル島で待っていたスクーナーに乗りかえてニューヘブリデス島へ渡り、そこで最終的に所属部隊へ戻る機会を見つけたのだった。
五月半ば、その日も疲れを知らぬ偵察員のビンギチはツラギから二〇マイルの海上を漕ぎ帰ったが、悪いニュースを運んできた。
ジョージ・ボーギスが捕まって、何もかもしゃべったというのだ。
もはやここを出るべき時が来たことは明らかだった。
一九日午後一時三〇分、クレメンズは事務所を閉じジャングルへ向った。