●「続・知られざる日豪関係」(610)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 ジャン・マリー・オーバン司教は、ソロモン群島の多くのカトリック伝道者と同じように、俗世界の戦争に巻きこまれても一種のキリスト教的中立を保持できたらと願っていたが、友人が危険にひんしている時に中立を守りぬくのはむずかしかった。
 ローズは現地人たちから日本軍偵察隊の行動を詳しく聞いた。
 彼らは住民の家屋を略奪し、馬を面白半分にのりまわし、家畜を射って内蔵を抜き、ツラギに持ち帰ったということだった。
 ところが六月に入ると、オーバン司教は、もっと心配な情報をもたらした。
 無線機と機関銃を装備した日本軍の見張所が、わずか二、三マイル離れたサブルに設置されたというのである。