●「続・知られざる日豪関係」(611)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 ケン・ヘイとともにゴールドリッジに落ちついたマクファランも、日本軍の動きが活発になったことに気づいた。
 六月八日日本軍の一隊がツラギから到着し、テントがルンガ平地に続々と並んだ。
 一九日には一隻の駆逐艦が沖合に錨をおろし、人員と兵器を陸揚げした。
 六月二〇日クレメンズの偵察員チミは駆逐艦の在泊を確認し、日本軍が波止場を作ったという最初の報告を持ってきた。
 その日の午後にはもうもうたる煙がルンガ一帯をおおった。
 日本軍が平地全体に茂っている背の高いクナイ草を焼き払っているのだ。
「奴ら(ニツプス)は居座るつもりのようだ」とクレメンズはその夜日記に書いた。
 そして監視員たち全員が、全く新しい局面が始まろうとしていることを覚った。
 この日から敵の背後深くで活動する彼らの孤独な戦闘が始まる。