●「続・知られざる日豪関係」(616)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 マクファランとヘイは、金鉱会社のヨーロッパ人マネージャーの事務所として建てられた五寝室付きの快適な家でくつろいでいた。
 この会社は尾根の上とソルビオヒオ渓谷の両方で発見された金鉱脈に目をつけていたのだが、結局”もの”になるだけの金がとれないことが分ったのでマネージャーは去り、ケレメンデ・ナブノブノという有能なフィジ―人が留守番として残っていた。
 この見捨てられていた廃鉱を再活用したのはケン・ヘイの努力による。
 彼は頑丈な体格の持主で、大変に親切であると同時に恨みは決して忘れず、数えきれぬほどの金もうけ計画でかけまわった男であった。