●「続・知られざる日豪関係」(619)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 フィジー人の留守番ケレメンデはあちこちによい情報源を持っていたし、主としてクレメンズが配属した現住民の巡査たちはいずれも大胆で勇気に満ちていた。
 ある男はルンガにある日本軍将校食堂のコックに住みこみ、四日間働いたのちキャンプの内部配置についてきわめて役に立つ情報を持ち帰った。
 日本軍自体もこうした浸透に鈍感だったが、それはひとつには滑走路建設を急ぐため、現住民の労働者に頼りすぎたからでもあった。

 
  布告第一号 ── 本島の住民は大日本帝国政府の命に従い日本軍に協力しなければならない。反抗するものは軍法により厳罰に処せられる。


  命令第一号 ── 一四歳から五〇歳までの男子は本島のいずれかの場所において日本軍のために働かなければならない。一カ月労働した者は、本島の住民たる資格を取得する。労働に従事している期間は食事を支給される。(以下略)